積立不足の問題とは?

 これらの税制適格要件のうち、特に4つ目の予定利率の変更の箇所に注目してみましょう。新規契約の場合の予定利率は次のような経過をたどり、現在では1%を下回る水準になっています。実際の金融資産運用利回りも低下していることはご存知のとおりです。
 ところが、税制適格退職年金制度があるほとんどの会社では、予定運用利率は5.5%で設定されたままとなっています。


税制適格退職年金の予定利率の経過



 つまり、毎月払い込んでいる掛金を運用した結果、毎年5.5%の利息がつき、最終的に従業員に退職金として支払うために準備する原資をこれで賄うことができるはずだったわけです。ところが、契約当初の目論見とは異なり毎年5.5%の利息どころか、毎年1.0%の利息もつくか、つかないかという状態が長く続いてきました。
 その結果、従業員に退職金として支払うための資金(退職金原資)が不足し、別に資金を用意しなければいけない状況、いわゆる積立不足の状況に陥っている会社が多いと思われます。

 その状況例を下の図でみてみると、
 毎月約8,600円を40年間掛け続けた場合、金利5.5%で約1500万円になり 、それで退職金原資を賄うことができるはずだったのに、金利1.0%では毎月約8,600円を40年間掛け続けても約500万円にしかなりません。
 つまり、この場合、退職金原資として約1,000万円が積立不足となり、別に資金を用意しなければならないのです。


退職金原資として1500万円を積み立てている場合

※エクセル関数を使用しているため、実際の年金数理とはわずかな誤差が生じます。



 税制適格退職年金の予定運用利率は変更されず、依然として5.5%のままであるとするならば、すなわち、(あえて単純に表現しますが)予定運用利率と実際の運用実績利率との差がそのまま積立不足となってしまいます。このまま放っておくと毎年確実に積立不足が増大していきます。
 退職金の積立不足額発生=労働債務の発生を意味します。
会社の抱える債務が年々増大するから、早急に適年から他の企業年金制度に移行するか、廃止しなければならない
のです。