年功型賃金制度を維持する条件とは?

 わが国の賃金制度は、年功的であるといわれています。賃金が主として学歴、年齢、勤続年数などの従業員の属性によって決定される傾向が強く、生活費に直接対応する賃金項目が多いことが特徴とされてきました。
 もともと年功型賃金制度は、高年齢(長勤続)=高能力を前提にした制度であり、これに高職務、高成果が密接に結びつき、結果として高賃金となるように制度が循環すれば、ある意味では最も望ましい賃金制度であるということがいえます。
 このような年功型賃金制度を維持するための条件は次のとおりです。

  1. 経済が右肩上がりで成長する(個々の企業にあっては、業績が毎年順調に向上する)ことによって、従業員の年功に合わせて毎年一定額の昇給(定期昇給)が可能であること

  2. 賃金水準が全体に低く、特に若年層に対する賃金が生存するために最低必要な生活費ライン近くに抑えられていること

  3. 雇用が新卒採用を基本にし、かつ終身雇用制であること

  4. 技術革新のスピードが遅く、年功が仕事の熟練度にほぼ見合っていること

  5. 現業労働者の比率が高いこと

 年功型賃金制度の維持を阻害する要因としては、次のようなものが挙げられます。

  1. 技術革新の進展により、従来の熟練を必要とする仕事が少なくなり、年齢、勤続年数と技術、成果とが必ずしも一致しなくなった【年齢と能力の関係】

  2. 高齢化などに伴い、必ずしも能力の高い者が合い相応しい職務に就けるとは限らなくなった【能力と職務の関係】

  3. 個人差が大きくなってきた【職務と成果との関係】

  4. 実績や成果を十分に反映しにくい賃金体系上の問題が大きな問題として浮上してきた【成果と賃金との関係】

  5. 若年層を中心とする職業や企業に対する意識が多様化してきており、長期雇用(長期勤続)と柔軟な雇用を組み合わせた人事賃金制度を必要とする企業が増加してきた

 賃金制度は、企業を取り巻く環境変化により当然変化するものであり、これらの変化に対応できない賃金制度は企業の永続的発展を危うくし、衰退させる恐れがあります。