(1)終身雇用制と退職一時金

 我が国において退職金といえば、退職一時金を指すのが、いままでの一般的傾向でした。なぜ、欧米諸国のような年金制度が普及しなかったかといえば、終身雇用制を前提に、家族主義的な労使関係が築かれてきたところにあるといえます。
 その下地となったのが、長年の農業中心の社会構造です。家長を中心に、一家が同じ屋根の下で協力しながら生活をするという家族制度。家長は、いかなることがあっても一族の生活について老後まで保障していかなければならない義務があり、次男坊以下は、長兄の命令には絶対的に従うという国民性ができあがっていたのです。  この考え方が、経営者と従業員の関係においても引き継がれ、お互いの暗黙の信頼関係のうえに、終身雇用制を安定的に維持するための策として、年功人事制度ができあがり、定年まで勤めあげることへの奨励策のひとつとして、退職金制度ができてきたといえます。

(2)退職金の始まりと過程  退職金は、封建的身分制度という徒弟関係の中で、一定の年季奉公明けの職人に対し「のれん」を分けることに端を発するといわれています。
 江戸時代の商家において、丁稚から番頭へと長い勤務を終え、独立を許された者に対する雇い主の恩情、功労的な給付として、営業権としての「のれん分け」から始まりました。
 しかし、のれん分けも産業環境の変化とともに難しくなり、一時金(金一封)に変わったともいわれています。

(3)退職金の性格
 退職金は、熟練労働者を必要としていた終身雇用制の時代には、その足止め策として、また社会保障制度がない時代には、共済制度としての機能も果たしてきました。戦後は、労働者の権利として、老後の生活費としての役割を持つに至ってきたのです。
 そして、税制適格退職年金制度は、老後の生活費としての退職金準備のために、税制面からその積み立てを優遇支援し、退職年金または退職一時金のいずれかを従業員自らが選択受給できるようにした仕組みなのです。

(4)退職金の意義
 退職金には、①賃金の後払い説、②退職後の生活保障、③企業責任、④企業慣習、⑤手切れ金、⑥独立資金、⑦功労報償、⑧成果配分、といった意義があるといわれていますが、考え方が法律上定義されているわけではなく、また、必ずしも前述の老後の生活費として考えている会社だけではなく、それぞれの会社により異なります。例えば、賃金後払いと考えている会社もあれば、功労報償だと考えている会社もあります。
 退職金をめぐる諸問題を解決する上で、御社では退職金をどのように定義づけるのかを一度見つめなおしてみることが必要です。それにより、退職金制度見直しの方向性が自ずと決まってきます。

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